【『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第七十八回】 [ノモンハン考]
☆今日、<ブックオフ>でこんなの買ったよ!
いわゆる、架空戦記ものですな。
私は、架空戦記と言うものは、同じくノモンハン絡みのものを一冊読んだことがあるだけです。
『ノモンハン戦車戦 (林譲治著 飛天出版)』
「戦車戦」と題しつつ、カバーの絵は軍艦ですか・・・、そうですか…。
400円だったんですが、ブックオフではいい値ですなあ。
では、『ノモンハン :地を這う神々の境地』です。
◇ ◇
第十二柱 陸軍軍曹 <石川 光雄>
第十三柱 陸軍軍曹 <松村 清松>
「弾雨中に敢然部下を救ふ」
八月二十八日、ホルステン河畔の戦闘に於て、石川軍曹は分隊長として陣地を確保中であつたが、俄然敵戦車十数両、歩兵約二百名からなる有力な機械化部隊の逆襲を受けた。石川軍曹は敢然部下を指揮して反撃を開始し、敵も我が陣地を目指して銃砲弾を集中、ここに猛烈な射撃戦が展開された。
この時、敵の放つた巨弾は、陣地右翼の掩壕に落下し、轟然炸裂すると、見る間に、掩壕内で奮戦してゐた部下四名を生き埋めにしてしまつた。辛らうじて首だけは表面に突き出したが、全身土砂に埋まつて身動きもならず、その上に敵弾は尚も雨となつて降りそそいだ。
石川分隊長はこの様を目撃し、
「大丈夫だ。俺が出してやるぞツ!」
叫びながら、圓匙で引掴むが早いか、敢然壕の中から躍り出した。
丁度そこへ、来合せてゐた連絡係の松村清松軍曹も、
「よし、俺も行く!」
と云ひながら、圓匙を拾つて続いて飛び出した。
敵弾は引切りなしに飛んで来る。壕から躍り出した二人の身体は、敵からまる見えで標的には持つて来いなのだ。
だが、部下を救ひ出したい一心の二人は、そんな危険を省みてゐる余裕もないのだ。
「辛抱しろ、すぐ出してやるぞ」
口々に云ひながら必死に圓匙をふるつて、掘出しにかかつた石川軍曹と松村軍曹。
四人の部下は、その姿を拝むやうに見詰めながら、
「分隊長殿、危いですツ。構はないで下さい」
上官の身を気遣つて口々に叫ぶのだつた。
「敵の盲目弾丸が当つて耐るものか。もう少しだ。我慢しろよツ」
部下の叫びは耳にも入れず、上官二人は渾身の力をふりしぼつて掘り進む。
やうやく一人掘り出した。続いて又一人。
「分隊長殿、済みません」
掘り出された部下は、涙をこぼしながら、傷ついた身を休めもせずに、残る二人の戦友を救はんと両手で砂を掻き分け彫り上げ、力を併せて働いた。
かくて、必死の救助作業に残る二人の部下も無事掘り出されて、壕の中に駆け戻り、
「済みません、分隊長殿! 軍曹殿!」 互ひに抱き合つて、感激の涙にくれたのだつた。
石川分隊長と云ひ、松村軍曹と云ひ、部下を思ふの一心で、敵弾下に危険も忘れて救出に努めた行為は、天晴れ我が武士道精神の発露と云ふべきである。
このやうに上官も部下も一心同体となつて敵に当る我が軍の鉾先には、鉄と機械の精髄をあつめた敵の猛攻も刃向ひ得ないのは当然である。その日の敵の逆襲も、企図空しく、散々に撃滅されてしまつたのである。
その翌日、石川軍曹は、更に七三八高地の敵陣に向つて進撃開始、その東南方約四粁の地点で、敵歩兵約百五十、戦車二十数両と相対し、猛烈な激戦を展開した。
戦ひ白熱するに及んで、彼我の距離は僅かに二十数米に接近、物凄い手榴弾の投げ合ひとなつた。
この時、沈着勇猛な石川軍曹は、敵の投げ込んで来る柄付手榴弾を、爆発瞬前に拾ひ上げて、投げ返し投げ返し、敵の弾丸で敵を倒しながら激闘一時間に及ぶ会戦を続けたのであつた。
この豪胆不敵な石川軍曹の振舞ひには、敵も味方も、舌を巻いて驚いたのである。然し、石川軍曹は、この物凄い肉弾死闘に身を投じながら、一弾も受けず、僅かに爆破のために視力を損じただけであつた。
誠に、石川軍曹こそは、部下を愛する純情の人であり、敵を怖れしめる鬼神の如き勇士であつたのである。
◇ ◇
>>「その東南方約四粁の地点で」
「粁」とは、キロメートルのことである。
(2008/08/03)
いわゆる、架空戦記ものですな。
私は、架空戦記と言うものは、同じくノモンハン絡みのものを一冊読んだことがあるだけです。
『ノモンハン戦車戦 (林譲治著 飛天出版)』
「戦車戦」と題しつつ、カバーの絵は軍艦ですか・・・、そうですか…。
400円だったんですが、ブックオフではいい値ですなあ。
では、『ノモンハン :地を這う神々の境地』です。
◇ ◇
第十二柱 陸軍軍曹 <石川 光雄>
第十三柱 陸軍軍曹 <松村 清松>
「弾雨中に敢然部下を救ふ」
八月二十八日、ホルステン河畔の戦闘に於て、石川軍曹は分隊長として陣地を確保中であつたが、俄然敵戦車十数両、歩兵約二百名からなる有力な機械化部隊の逆襲を受けた。石川軍曹は敢然部下を指揮して反撃を開始し、敵も我が陣地を目指して銃砲弾を集中、ここに猛烈な射撃戦が展開された。
この時、敵の放つた巨弾は、陣地右翼の掩壕に落下し、轟然炸裂すると、見る間に、掩壕内で奮戦してゐた部下四名を生き埋めにしてしまつた。辛らうじて首だけは表面に突き出したが、全身土砂に埋まつて身動きもならず、その上に敵弾は尚も雨となつて降りそそいだ。
石川分隊長はこの様を目撃し、
「大丈夫だ。俺が出してやるぞツ!」
叫びながら、圓匙で引掴むが早いか、敢然壕の中から躍り出した。
丁度そこへ、来合せてゐた連絡係の松村清松軍曹も、
「よし、俺も行く!」
と云ひながら、圓匙を拾つて続いて飛び出した。
敵弾は引切りなしに飛んで来る。壕から躍り出した二人の身体は、敵からまる見えで標的には持つて来いなのだ。
だが、部下を救ひ出したい一心の二人は、そんな危険を省みてゐる余裕もないのだ。
「辛抱しろ、すぐ出してやるぞ」
口々に云ひながら必死に圓匙をふるつて、掘出しにかかつた石川軍曹と松村軍曹。
四人の部下は、その姿を拝むやうに見詰めながら、
「分隊長殿、危いですツ。構はないで下さい」
上官の身を気遣つて口々に叫ぶのだつた。
「敵の盲目弾丸が当つて耐るものか。もう少しだ。我慢しろよツ」
部下の叫びは耳にも入れず、上官二人は渾身の力をふりしぼつて掘り進む。
やうやく一人掘り出した。続いて又一人。
「分隊長殿、済みません」
掘り出された部下は、涙をこぼしながら、傷ついた身を休めもせずに、残る二人の戦友を救はんと両手で砂を掻き分け彫り上げ、力を併せて働いた。
かくて、必死の救助作業に残る二人の部下も無事掘り出されて、壕の中に駆け戻り、
「済みません、分隊長殿! 軍曹殿!」 互ひに抱き合つて、感激の涙にくれたのだつた。
石川分隊長と云ひ、松村軍曹と云ひ、部下を思ふの一心で、敵弾下に危険も忘れて救出に努めた行為は、天晴れ我が武士道精神の発露と云ふべきである。
このやうに上官も部下も一心同体となつて敵に当る我が軍の鉾先には、鉄と機械の精髄をあつめた敵の猛攻も刃向ひ得ないのは当然である。その日の敵の逆襲も、企図空しく、散々に撃滅されてしまつたのである。
その翌日、石川軍曹は、更に七三八高地の敵陣に向つて進撃開始、その東南方約四粁の地点で、敵歩兵約百五十、戦車二十数両と相対し、猛烈な激戦を展開した。
戦ひ白熱するに及んで、彼我の距離は僅かに二十数米に接近、物凄い手榴弾の投げ合ひとなつた。
この時、沈着勇猛な石川軍曹は、敵の投げ込んで来る柄付手榴弾を、爆発瞬前に拾ひ上げて、投げ返し投げ返し、敵の弾丸で敵を倒しながら激闘一時間に及ぶ会戦を続けたのであつた。
この豪胆不敵な石川軍曹の振舞ひには、敵も味方も、舌を巻いて驚いたのである。然し、石川軍曹は、この物凄い肉弾死闘に身を投じながら、一弾も受けず、僅かに爆破のために視力を損じただけであつた。
誠に、石川軍曹こそは、部下を愛する純情の人であり、敵を怖れしめる鬼神の如き勇士であつたのである。
◇ ◇
>>「その東南方約四粁の地点で」
「粁」とは、キロメートルのことである。
(2008/08/03)
2008-08-03 18:56
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by ECパートナーズ 佐藤行一 (2020-04-08 22:29)