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【『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第百十二回】 [ノモンハン考]

☆・・・『ノモンハン:70年前の記録・6月 ②』

 今回も、『ノモンハン美談録』より。

     *     *

   ◇六月二十四日

 四時頃戦車多数を有する敵大部隊将軍廟を攻撃し来る、我が方これを撃退、午後に至り砲、騎、戦車約三百襲撃来り、我が方一時苦戦に陥るも国軍騎兵の迂廻側面攻撃により大混乱に陥り一時間にして遺走す。我が方損害軽微、戦車十両を鹵獲す。

 阿穆古朗南方ハルハ河畔上空に、八時三十分ソ連機約六十機襲撃し来る、我が航空隊これを遊撃し、十二機を撃墜、残余をタムスク方面に遁走せしめ、全機無事帰還す。

 ボイル湖附近上空を哨戒中の我機は十九時頃、敵и十六型十四機を発見、直にこれを攻撃三機を撃墜す。

   ◇六月二十六日

 甘珠爾廟南方二十粁の上空を哨戒中の我が三機は十七時頃ボイル湖畔ツアンガンオボー上空に於て敵機約四十機の大編隊陣に突入、約三十分に亙る空中戦の結果十六期を撃墜。

   ◇六月二十七日

 払暁外蒙ソ連空軍のи十五型、十六型機約二百機の大編隊ボイル湖方面より襲来、わが戦闘機隊はこれを遊撃、約三十分に亙り交戦、敵機九十八機を確実に撃退(其他稍確実なるもの六機)更にタムスク、マダツトのソ連空軍、大挙襲来し来る企図あるを探知し、わが航空隊は機先を制し、断乎自衛権を発動、これ等外蒙ソ連軍飛行根據地を空襲撃滅すべく、大空襲を決行、敵約三十機を爆破炎上せしめ完膚なき迄に敵空軍根據地を、壊滅す。本日の戦闘に我方帰還せざるもの三機。

     *     *

 ・・・「断乎自衛権を発動」ってのが、堪らないですな。

 しかし、ソ連軍も、数だけ集め、二百機の大編隊を展開させても、その技術面や精神面での習熟が全くなされてないので、「入れ食い」で撃墜されていく様がよく窺える。

          ノモンハンの空.jpg
           こちらは、軍民航空を描いた名作小説です。

 井沢元彦などは、旧日本軍の「員数合わせの愚行」をよく語りますが、この頃の日本軍は、かろうじて、粒揃いの「戦士」を育成していたようです。

 話変わりますが、私は、ここ数年、仕事で、現場の責任者を任されることが多いのですが、とかく、会社の上層部は「員数合わせ」をしてこと足りると考え、ボケナスを現場に送り込んできて、そこで「こちらの仕事はお終い」とすることが非常に多く、私は白髪を増やしています。

 そこには、「間接的生産(=社員教育)」の概念が欠落しているのです。

 ・・・井沢氏の主張の文法に沿って考えれば、そもそも、このノモンハンを契機に、軍人の相対的な劣化がはじまったのかもしれません(司馬遼太郎も、「日本人の精神性の変質の境」をこの時代に置いている)。

 そして、現在、終身雇用制の崩壊とともに、現場をリードする「叩き上げ」の現場社員(戦士)が姿を消していき、日本の会社制度は「敗戦」に向かって行くのかもしれません。

                                                         (2009/07/28)
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