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【 『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第五十二回 】 [ノモンハン考]

【 『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第五十二回 】

▼≪関東軍と関東州と満州と・・・(その4)≫

私の知り合いに自衛隊の3佐の方がいるのだが、
私は最近、この方に、こんな質問をした。
「私は戦争のズブの素人ですが、ノモンハン事件においては情報が少なく、私如きがかように記していくのも意味があることだと思っているのです。
 でも、もしかして、例えば、ソ連が崩壊した90年代やなんかに、各種ミリタリー誌で、ノモンハン事件などの情報がたくさん流出していて、
 戦争通の間には、その情報が共通認識として存在していて、戦争素人の私が必死に書いているものは、どこかで笑われている、なんてことはないでしょうか?^^;」
すると、3佐は、微笑みながら答えてくれたものです。
「そんなことはないので、心配しないで下さい^^」

▽『Wikipedia』によると、1875年に生まれた張作霖の出自は以下となっている。
<・・・遼東半島の付け根に位置する海城県で生まれる。
生家はあまり豊かでないうえに早くに父を亡くし、さらに母が新たに迎えた夫と気が合わず、家を飛び出したといわれている。
その後、吉林省に渡り、馬賊に身を投じた。
当時の東三省は、広大な面積に比べて警察力があまりにも低く、非合法組織が数多く存在した。
張はその中でたちまち頭目となり、朝鮮人参や、アヘンの密売で利益を得ていたと考えられる。・・・>

しかし、時代は、馬賊を、馬賊純正のものとして存在させなかった。
それは一種の軍事組織と看做される。
満州は、戦国時代の如く軍閥群雄が割拠し、しかし、それは、近代の洗礼(他国の情報・思惑・物量)を受けていて、日本の戦国時代のような閉鎖性は持てず(持っておらず)、
それ故に、馬賊頭領は、「軍閥政治家」と言う近代的な有力軍人のあり方に変容していった。
・・・日本にも、明治維新後、「近代」の洗礼を受け、「軍閥政治」が生まれている。

▽『Wikipedia』には、張作霖の写真も載っているのだが、お笑いのTIMのゴルゴに似た顔をしている^^
で、その顔で、日露戦争時には、ロシア側のスパイとして、後の満州地域を暗躍する。
が、日本軍に捕われる。
死刑寸前に、日露戦の英雄・児玉源太郎に「こいつは使える・・・」と見出され助けられる。
面白いのが、この児玉による助命の伝令役を仰せつかったのが、田中義一少佐である。

田中義一・・・、後に詳しく書くが、後に日本国の首相となる。
だが、関東軍の引き起こした「張作霖爆殺事件」に端を発する政争に巻き込まれ、退陣することになる・・・。

・・・・・、・・・・うん? 少佐の田中義一が総理大臣になったと言うことは、くだんの自衛隊3佐も、もしかすると、総理大臣になる可能性がなきにしもあらずだなあ・・・。
仲良くしておこう^^;

さて、児玉に助けられた張作霖は、今度は、日本のスパイとして満州の地を走る。
その後、日本と張の関係は深くなっていく。

▽日露戦争後の1905年、東三省の統治の引き締めを図るべく清朝から送られてきたのが、趙爾巽である。
清代の支配階層である満州人が所属する軍事組織<八旗兵>出身であった趙は、満州人ならではの行政手腕を発揮していた。
その頃には、大馬賊の頭領として名を馳せていた張は、趙の「帰順すれば、馬賊ともども正規兵として取り立てる」と言う申し出に乗った・・・。
かくして、張は、公的に二千名を擁する部隊長となる。
さらに、張のもとには、その名に惹かれ、多くの荒くれ者が集っていた。

その頃、満州には、多くの漢人が移り住み、また、日本とロシアの開発の影響も受け、経済発展の新たなる地平としての可能性が見出されていた。
ここに、自分の権力伸張を目論んだのが、清朝は北洋軍を率いる直隷総督兼北洋大臣の袁世凱であった。
1907年、袁は、子飼いの徐世昌を東三省総督に据え、また、北洋軍の一部をも送り込んだ。

徐もまた、東三省の治安に苦しむが、その中にあって張は、内モンゴルに近い鄭家屯と言う地を拠点に、徐の統治に貢献していた。
こうして、張は、北洋軍との関係を密にしていった。

▽後に、張が率いるのが奉天軍閥で、それは袁の北洋軍の流れを汲む。
袁世凱の肩書きに「【直隷】総督兼北洋大臣」があるが、
張は、後に「直隷派」に参加し、1920年、安直戦争を戦う。
だが、二年後に、張は、直隷派を相手に第一次奉直戦争を戦うことになる。
そういった経緯を考えると、その前段階を長々と書かなくてはならなくなる・・・。
                (2006/11/17)


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