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【『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第九十七回】 [ノモンハン考]

☆こんな本をネットオークションで手に入れた。

     『戦争と教育     ノモンハン・沖縄敗残兵の戦後   
                                          (森杉多著・近代文藝社)』
   戦争と教育.jpg

 ・・・左翼本です^^;

 でも、「ノモンハン」とタイトルで触れている限りにおいて、有益な情報も書いてあると信じて購入しました。

 報告をお待ち下さい^^(←でたっ! 得意の先送りッ!!^^;)

 ・・・では、『ノモンハン :地を這う神々の境地』です。

   ◇   ◇

 第三十二柱 陸軍上等兵 <犬養 朝仁>

    「旺盛なる犠牲的精神」

 八月二十四日九時頃、前進開始と共に、敵の火力物凄く、わが砲隊には、犠牲者が相ついだ。犬養一等兵は、右に左に駆けめぐり身を挺して死傷者の収容に看護に必死の力をつくした。

「オイ犬養、身を低く……」 分隊長が声をかけるが、一等兵は、

「ハイ……」と答へるだけである。擔架兵が自分の身を可愛がつてゐては、充分な働きは出来ない。

 十時三十分、敵前千米の辺りに達した時、突然小隊の陣地転換の命が下つた。言ふ迄もなく敵前の陣地転換は、非常に困難をともなふものである。而も迅速を要する。

 小隊は直ちに行動に移つたが、死傷者が続出した後なので欠員が多く、弾薬、砲の搬送が容易でない。この状況を見て、どうして黙つてをられよう! 犬養一等兵は、先ず戦死した戦友の背負つてゐた弾薬を自分で背負ひ、続いて砲の搬送に協力した。

 かうして小隊は、敵前八百米の地点まで前進した。何一つ遮蔽物とてない平坦地である。敵はよい目標とばかり、猛烈な集中火をあびせた。

「あッ……」 一等兵は、バツタリと倒れた。一弾が彼の胸部を貫いたのである。しかし一等兵は直ちにむつくりと立ち上ると、ふらつく足をふみしめ、

「何糞、やつたなあ……」と歯をくひしばり、前進をつづけた。背中には重い弾薬箱がある。十米、二十米、三十米………併し、人力には限りがある。生命の燈火は消えた。

 一等兵は、どうと倒れた。

   ◇   ◇

                                                    (2008/11/30)
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